「・・女、意外といい奴だな」





少し驚いた顔をしてみせて


あたしからタオルを受け取る彼。


びしょ濡れのまま放置しておいて


後からとやかく言われるのは嫌だもん、心の中で思いながら


この変態が着れるような服はなかったかと


クローゼットへ探しに行く。





こういう時は、運良くあるものだ。


見たくもなかったけど、元彼の服。


ちゃんと持って帰ってよ、と溜息をつきながらも、


それを彼のもとへ持っていく。





「お前、こんな服着るのか」





「なわけないでしょ?!早く着ないと風邪ひいちゃうよっ」





明らかに男物の服であるそれを物色し


あたしの顔をいぶがしげに見た。


言っとくけど、そんな趣味ないから。





一生懸命Tシャツに首を突っ込んでいる彼を尻目に


あたしはリビングを後にした。





最悪


なんて最悪な日





別れ話を持ちかけたら殴られるし


お風呂の中から変態登場だし





今日のことは全部夢


そう、全部夢だったらいいんだ。


あたしは自分に思い込ませるように


布団を頭から被り眠りこけた。





夢ならはやく覚めてしまえ。











Q