さわやかな朝に似合わないほど彼女の顔は青ざめ
全身の震えが止まりませんでした。
昨晩の忘れていた、忘れたかった記憶が
どうしても鮮明に思い出されるのです。
コンコン
遠くにある大きな扉が叩かれました。
その瞬間少女に寒気が走ります。
返事もしない間にギィーっと音をたてて開く扉の先には
いつもと変わらぬ父親が立っているのでした。
「おはよう。昨日はよく眠れたか?」
笑顔の下でにやりと企むような微笑を零す彼を
は見逃しませんでした。
きっ、と睨んでから自分にかけてある布団を手繰り寄せ
その裾をぎゅうっと握りしめていました。
「いつまでもそうしていないで
朝食にするから広間にいらっしゃい」
言い残して王様は去っていきました。
もちろん彼女は何かを食べる気にはなれません。
それも王様と一緒にだなんて。
彼女はメイドのヒナタに頼み、自室で紅茶を淹れてもらい
朝食にはフレンチトーストを一口食べただけでした。
「お嬢様、読書などしてみられてはいかかです?」
朝食後、ひたすら窓の外を眺めているだけの王女を心配し
ヒナタは思い切って提案してみました。
「ええ・・そうね」
ふんわりとは笑ってみせたものの
彼女は昨日までの輝きを失っているようでした。
ヒナタは理由が分からないので不思議に思いましたが
すぐさま城下町におりてゆき、目ぼしい本を数冊借りてきました。
もちろんヒナタが留守にした間にも
姫君が何かをしたような様子はありませんでした。
中央図書館の印が押されている
積み重ねられたの本の中から
は際立って古めかしい本を抜き取りました。
表紙には金色の文字で“永遠”とだけ書かれていて
そっとページをめくらなければ破れてしまいそうでした。
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