さらさらと、さらさらと流れてゆく砂。 単調な流れのどこかに俺は共感を覚えていた。 「我愛羅様・・砂時計がお好きなんですか?」 意外だ、とでも言いたそうに 彼女は俺とそれを交互に見た。 砂時計から目を離して、窓に目をやると 夕焼けにうっすらと月が顔を出していた。 「好き・・というわけでもない。 ただ、こうしていると落ち着くだけだ」 呟いた俺の傍までは歩み寄り、隣で月を眺めた。 俺が月なら彼女は太陽で 共に輝ける日など来ないのだろう そう思うだけで何故か 心の奥にずきっとした痛みが走った。 「・・」 少し俺より背の低い彼女は その澄んだ、穢れを知らない瞳に俺を映した。 俺はどんな顔をしていたのだろう。 怒っていたわけもなく。 悲しかったわけでもなく。 ただ・・ そっとの手のひらが近づいて、 俺の頬に触れた。 「我愛羅様・・とても、哀しそうな顔ですね」 触れられたそこから 未だ凍っていた心が解かされるように ふんわりと温かい何かが流れ込むような そんな感覚に襲われた。 俺になかった何かを与えてくれているように。 その温かさが心地よくて 頬に触れられたその手に手を伸ばしてみる。 人肌というものに久しぶりに触れたせいか 懐かしさと共に安心感を得た。 温かさに縋るような思いで、瞼を閉じた。 ドカッ!! 物凄い音で自室のドアが開けられる。 「我愛羅、飯だぞ飯〜・・ぬぉっ!!??」 Q |