トイレから戻ってくると


彼女は“風の国の眠れなくなるほど怖い話”を読んでいた。





「・・楽しいか?」





尋ねるとは肩をびくっとさせ


俺の方を振り返った。





「驚かせないでくださいよっ・・


幽霊が出たかと思ったじゃないですか!」





頬を赤らめて言う彼女を


何故か可笑しく思い、鼻で笑ってしまう。





「ちょっ・・笑わないでくださいっっ!」





自分の口元に手を当て


俺は笑いを堪えて言う。





「すまない・・それはそうと


さっき敬語じゃなくていいと言ったはずだが」





は本をぱたんと閉じて言い切った。





「あたしなんかが我愛羅様に対してタメ口なんか


口が裂けても言えませんよ」





その言葉が俺の心にはぐさりと刺さる。


2人の間には大きな壁がある


そう言い切られたような気分だった。





「そうか・・」





彼女は俺の顔を窺っている。


俺は小さく溜息を零し


未だ落ちきっていない砂時計を


ひっくり返す。





時間の流れを感じるように。











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