自室にこもったものの 何も手につかない。 せっかく借りてきた "風の国の眠れなくなるほど怖い話"も 読む気にならなかった。 俺は寝れるわけもなく ベッドに横になった。 砂時計がさらさら落ちるのを ただただ見つめているだけの時間。 決して有意義ではないだろうけれど 俺の心を落ち着かせて 時の流れを感じさせてくれる。 そうしている時間が どれくらい経ったのだろうか。 俺の部屋のドアがノックされる。 暫くしてそれは開けられ 先ほどの彼女が立っていた。 「・・たん☆とか何とか呼ばれていた奴だな」 俺が言うと恥ずかしそうに微笑みかけ 口を開いた。 「あの・・でいいです」 そう言われ 俺はちょっと間を空けてから頷いた。 「俺は我愛羅・・それと、敬語はやめろ」 見た感じそう年も離れてはいないようだ。 そもそもアイツの婚約者だしな。 俺は彼女の傍を通って 自室を出ようとする。 「えと・・どちらへ?」 「・・・関係ないことだ」 普通にトイレに行きたかった俺は 少し恥ずかしくて言えなかった。 いちいち行き先を聞かないで欲しい。 男にはいろいろあるものだ。 まあ・・俺は馬鹿兄貴ほど 変態性欲を持ち合わせているわけではない。 当たり前だ。 Q |