「、、っ!!」
金色のつや髪を揺らしながら
どうやら興奮している様子の彼、メロが
のもとへ駆け寄ってきた。
どうせ新種のチョコレートが発売されたとか
期間限定のチョコレートだとかだろうと思い
手にしていた雑誌をパタンと閉じて
メロの方へ向き直った。
「どうかしたの?」
ゆっくりと問う彼女が焦らしくて
メロは目尻を吊り上げて言い放った。
「2月14日は何の日か知ってんだろ?!」
はすっかり忘れてた、
とでも言うような素振りを見せはしたが
実際この季節になれば誰でも
目に付くバレンタインデーを象徴する
ハートマークのコーナーが店のあちらこちらで開かれ
今しがた見ていた雑誌にも
”手作りチョコレートで彼のハートをゲット”
などという見出しがある。
外国の文化では男の人が女の人にプレゼントをする
そういう風に聞いていたのに、と彼女は思う。
「俺は2月14日が好きだ」
片手に握りしめていた板チョコを
がりぼりと噛み砕きながら
大袈裟に頷いてみせる彼。
「バレンタインデーでしょ?
・・ちゃんと覚えてるよ」
は呆れたような笑顔を見せる。
だが次の瞬間、彼女は彼氏の意外な
少し謎めいた部分を垣間見ることとなった。
「・・ばれん隊で絵??
そんな変な名前じゃねえっ・・チョコレート祭だ!!」
ざっぱ〜ん
とメロの後ろに荒波が見えた気がした。
帰国子女のような彼だから仕方がないといえば
仕方が無いのだけれど、何か根本的に履き違えている。
はどこから訂正すればいいのか分からず
ただただ、ぽかーんと口を開けていた。
「楽しみだなっ!朝起きたら枕元の靴下の中に
大量のチョコレートが入ってんだろ?
俺のための祭りって感じだな」
わくわくを全身で表しながら
自身も入れるくらいの大きな靴下を
枕付近にちゃっかり用意している。
「ねえ・・クリスマスと混ざってるよ?」
やっと突っ込みを入れることができたのだが
今のメロには何を言っても右から左へ筒抜けで
脳味噌がチョコレートになっているようだ。
まだまだ夜は長いというのに
いつの間にか彼は大きな靴下と共に
眠りこけているのだった。
は暫く無邪気な寝顔を見つめていたが
今から巨大チョコレートを作ることは不可能に
限りなく近いと再度確認させられた。
とりあえず、例の靴下に潜り込んでみる。
流石チョコレート大好きっ子と言うべきか
かなり奥行きもある。
寝袋の中に居るような気分になってきて
瞼がだんだん、だんだん重たくなる。
睡魔の誘惑にあっさり負けた彼女だった。
2月14日:バレンタインデー当日
いつもは自分で起きることが出来ない
お寝坊さんメロは、当然のように跳ね起きた。
そして大きな靴下の中身をそっと覗き込んだ。
風呂場を覗く時のように。
「えええええええっ??!!」
チョコレート祭り
彼が驚愕する声を目覚ましに
は「うーん」と音を漏らし
靴下の中で眠ってしまったことに気付いた。
しょんぼり、しおしお、へなへな
どの言葉でも表せられない表情のメロに
彼女は寝ぼけた頭で、何をすればいいのか必死に考えた。
「メロっ・・ごめんね?
チョコレートじゃなくて、あたしが寝ちゃってて・・」
わざと目線を泳がせて誤魔化そうとしたが
すっぽりとチョコレートな彼の匂いに包まれる。
は困惑しながらも、彼の服の裾を掴んだ。
「がチョコレートってことか!!
んじゃ、いただき」
彼の勘違いは解決しないまま
バレンタインデーは始まったばかりだ。
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もうすぐバレンタインですね
今年ははりきって作りますよ ⊂二二二( ^ω^)二⊃
キャラ狂はいつものことだし
内容にはあまり触れないで終わりましょ←
チョコは舐めるものではない、
噛むものだ メロ談
ココまで読んでくださってあリがとうございました
Manaka