ちょっとした大会を好成績で終え


スパルタな部活から解放されたと思えば


今まで構ってやれなかった彼女のおもり。





「おもりとは酷い言いようね」





口先を尖らせて正確に彼女は突っ込んだ。


自分より少し背の低い


の頭をぽんぽん撫でてみると


それくらいじゃ許してやんないんだから


とでも言うかのように


俺のだらんとした掌をぐいっと掴む。





「今日1日、びっちり付き合ってもらうから」





にこりと俺に向けられた笑顔からは


少し意地悪な面も窺えた。


が、それは気にしないことにしよう。


彼女なりの配慮なのだろう。


今日のデートについてはが全て計画してくれた。


男として激ダサだぜ、と零す俺を宥めながら。





引っぱられるがままに着いた場所は


レンタルショップだった。


特別何かが借りたかったわけでもないらしく


は洋画コーナーをぶらついていた。


俺がふと目線をあげると


アダルトコーナーが目に付いた。





「亮ちゃんっ!!そーゆーのやめてよ」





勘が鋭いと思う。


ちらとしか見ていないのに


の色白な頬はチークをいれたみたいに


少し艶を帯び、ピンク色だった。





結局、彼女が選んだ何枚かのDVDを借りた。


もちろんアダルトなんかじゃない。


よくは憶えていないけれど


ラブコメディー的なものだった気がする。





「んで、どうすんだよ」





必然的に俺はDVDを持たされ


未だには俺の前を歩いていた。


呑気に鼻歌なんか歌いながら、


俺の質問に答える様子は一度だって見られない。





不服を並べてはいたが


風が吹くたびにふわりと香る彼女のシャンプーの匂いも


規則正しく聞こえるヒールが地を打つ音も


俺には心地よかった。





「亮ちゃんち・・行ってもいい?」





心地よさに浸っていた俺に追い討ちをかけるかのように


のはちみつボイスが響いた。





「はあっ?!」





素っ頓狂な声をあげると共に


一瞬、誘っているのかとさえ思った。


今日は両親帰ってくるの遅いし


例のゴム製品もきちんと持ってるぜ


なんて考えていた直後、DVDを見るためだと知った時の


俺の失望感といったら計り知れない。





兎にも角にも、今俺はこうして


ちょっとでもムードを盛り上げるために部屋を暗くして


の隣に居るのだけれど。


ちっともイイ雰囲気なるものにはならなくて


イライラしていた。自分に。





最初からDVDの内容は気にも留めていなかったし


今更本気に見ても、ちんぷんかんぷんだ。


投げやりに、頭の後ろで交差させていた腕を両側に下ろした。


偶然下ろしたそれは華奢な5本指の上。











13.指を絡めてそっと











は指と指を交互に絡めて手を繋ぐ


俗に言う”恋人繋ぎ”が嫌いだった。


自分の指の間に他人の指があるという


何ともいえない異物感が気持ち悪いのだという。


もちろん、彼女はすぐに指と指の間の異物に気がついた。





「亮ちゃん・・あたし」





暗がりでは確認できないが


はきっと怪訝そうな顔をしている。


それを想像しながら、絡めた指を離さずに


そっと抱き寄せ頬に頬を当てた。





「ごめん、なんか俺思ってたより・・」





思ってたより、おもり好きだな。


ころころ変わる表情を追いかけるのが好きだな。











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恋人繋ぎ嫌いだなあ

彼氏とかには悪くて言えないけど

本心気持ち悪いなあって思ってます←


普通に繋ぐのは大丈夫なんだけど

あたし手に性感帯があるのかしら


ココまで読んでくださってあリがとうございました


                                   Manaka